究極の薄さ・ペラ紙（Ａ４コピー紙２枚）
Ａ４サイズ数枚の超薄製本を多数冊作るのは、どうすればよいか従来から問い合わせあり。
従来からこの分野はホッチキス、クリップの独壇場。プリント結果がホッチキス、クリップで留めたり、積み上げられているので整理するときこの技術は必要だった。製本の核になる技術で応用範囲は広い。学校などで多数作るとき役立つ技術。楽譜などの暫定製本に役立つ。
■ 動機
・半月前プラスチックシートを使用して、天糊製本した結果があった。
・強度を測定、分離作業など接着状態の評価をしていなかった。
用紙と用紙の間には接着剤を入れない製本であり最も難しいやり方。接着剤が入り込むと乾燥後の分離ができなくなるため。用紙の背の部分だけで接着していて接着剤が蝶番の役目をするので、水平開きできる。
背固め補強紙、背表紙、表紙をつけない中味だけの製本。
製本テープ、ホッチキスも使わない背に接着剤を付けただけ。
厚さ４ｍｍを一回で糊付けし、２枚単位に分離する。
★製本対象用紙 片面印刷された不用のＡ４サイズＰＰＣ用紙を４０枚
★使用する道具・消耗品
・汎用型製本機、手作りした背揃え台
・プラスチックシート２枚
左は用紙の最初と最後に上にシートをおいたところ。
たて２１２ｍｍ、横２９９ｍｍでＡ４サイズより２ｍｍほど大きくします。
・細口Ｂ１ボンド
■製本手順
１．複数冊同時背固め ５／８背固め
１）突出量を５ｍｍぐらいに増加させるために、背揃え台の上に製本機を倒立させ置き、投入口を開きます。
２）クリアーシートで挟んだ用紙を投入し、指で小口と側面をたたいて背と側面を揃えます。
３）蝶ナットを締め付け、製本機を正立させます。（右の写真）
４）ボンドＢ１接着剤をつけて、背全体を指でならします。
５）背の両サイドを左から右に、
親指と人差し指で背をはさんで押さえ膨らんでいる背側の厚さを薄くし、膨らみをなくする。
６）不足している部分に接着剤をつけて、背全体を指でならします。
７）再び背の両サイドを左から右に、
親指と人差し指で背をはさんで押さえ膨らんでいる背側の厚さを薄くし、膨らみをなくする。
８）半乾き状態で、製本機から用紙束を取り出し、プラスチックシートを引っ張って取り除く。
９）プラスチックシートの接着剤をウエットティッシュで拭き取る。
１０）２４時間以上放置し、完全に乾燥させる。急ぐ場合はドライヤで乾かす。
２．各冊毎に分離 ２週間以上経って５／２６分離して強度測定
下図は出来上がり断面図。乾いた接着剤を切って各冊毎に分離する作業。・・・用紙と用紙の間に接着剤が入らないのでカッターナイフできれいに分離できます！
※カッターナイフはの刃先はビニールテープを貼る。
１）分離部分を180度開く。２）分離部分にカッターナイフを置いて用紙閉じて、カッターで用紙を傷つけることなく分離する。
【分離結果の写真】 ２枚単位に分離して（厚さ０．２ｍｍ）約２０部作った。非常に薄い。
２０部すべて、きれいに分離できた。時間もわずか。
接着面に隙間があるかどうか調べるため窓ガラスに２枚をぶら下げて、背面から光を当てて写真を撮った。右は接着部分の拡大写真。各写真の左側の頁は逆さに映っているのは裏面の印刷面が透けて見えるため。背の部分だけに接着剤がきれいについていて隙間がないことがわかる。
■強度結果
１．４ｍｍの厚さで中程の隣あった２枚を引っ張ったとき
２枚の用紙の真ん中を引っ張ったとき２．５ｋｇ以上の強度。
２枚の用紙の端から１ｃｍを引っ張ったとき１ｋｇの引き裂き強度。
２．４ｍｍの厚さで最初、最後の隣あった２枚を引っ張ったとき
２枚の用紙の真ん中を引っ張ったとき２ｋｇ以上の強度。
２枚の用紙の端から１ｃｍを引っ張ったとき１ｋｇ、１．７ｋｇ、１．２ｋｇ、１．２ｋｇの引き裂き強度。
３．２枚に分離した後の引っ張ったとき
２枚の用紙の真ん中を引っ張ったとき１．８ｋｇの強度。
２枚の用紙の端から１ｃｍを引っ張ったとき０．４ｋｇ、０．８ｋｇ、０．６ｋｇの引き裂き強度。
■結果
１．ＰＰＣ用紙２枚でも背固めができた。ホッチキスもクリップも使わない簡易製本。
２．完全水平開き製本で、薄い冊子を多数作るとき有効。
３．用紙の中程を引っ張ると２ｋｇ以上の強度があり、実用的と思う。４ｃｍの厚さの用紙が約２ｋｇであるから２ｃｍぐらいまではこの手順で天糊製本しても十分な強度。
(引き裂き強度は弱いが、故意に破るときであり問題ない）
【履歴】 Ａ４サイズ薄い冊子の多数製本。天糊製本関係
●2006/5/26 「Ａ４ＰＰＣ２枚の究極のペラ紙製本」このページ
片面印刷済Ａ４サイズＰＰＣ用紙を４０枚。これを２枚単位に分離。
毛羽立たせないで製本。糊付け後２週間経って分離し、強度測定。
ボンドＢ１
●2006/2月 「厚さ０．５ｍｍの超薄ペラ紙製本」
白紙のＡ４サイズＰＰＣ用紙を４０枚。これを最低５枚に分離
ステンレスブラシで毛羽立たせる。
分離用カッターナイフを作る。カッターナイフは刃を切れにくくし、刃先はビニールテープを貼る。
ボンドＢ１
●2004/4月 「新ファイリング方法」
不用用紙の糊付け
ボンドＧ１７接着剤とヤスリで背固め。